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調査日:2006年3月27日〜3月29日

1.一般被災者の状況

◇ 生活の状況
  今回訪問したMoratuwanoの仮設住宅では、被災者は世帯別に生活をしている。生活保護のキャンプしているのは11地区で1089世帯3994人がすんでいる状況である。
実際に仮設住宅に行ってみると、一戸一戸離れた仮設ではあるが、道幅60cmくらいしか離れておらず、しかも板が壁がわりとなっており、プライバシーはない。また蒸し暑く、ハエが部屋中におり、ベッドの半分にはハエの大群が占拠している状況があった。台所は、まな板とガスコンロがあればよい方で薪をたいて食事をつくっている。もちろん水道は各家にはなく、共同施設に通っている水を汲みにいき、水のストックをしていた。飲み水には塩素を入れて消毒をして使っていた。家には最低限のものしかなく、食料や日用品の備蓄は見当たらず、4畳半2間と半畳の台所に、4-5人が暮らしている。
また、被災者の多くは零細な漁業従事者であり、彼らの多くは危険と知りながらも生計をたてている海岸近くに自宅あるいはテント暮らしをしていた。

◇コミュニティ形成
 この国の地域性として、南部は仏教徒がほとんどでありお互いにサポートしあい、また多くの偉人や首相なども南部出身であり、支援が行き届きやすいという現状がある。しかしながら、都市部は、多様な宗教が入り込み(約50%がカトリック)、ヨーロッパ文化が浸透し、核家族化している。そのために都市部の被災者・被災世帯は孤立している状況があり、特に小さな子どもや障害児をケアすることが十分にできないでいることが課題となっている。

◇健康状態
 中長期的には、栄養状態の悪さや劣悪な環境による集団感染などが原因で、慢性病(高血圧・糖尿病など)や肺炎などの感染症や伝染病(デング熱など)が増えている。また津波後には家を失い、家族を失った人の精神社会的なサポートが必要であり、特に若い人が問題で、アルコール依存症や麻薬中毒になっている人もいる。訪問した仮設住宅での衛生状態下では、感染症にかかりやすく、子どもたちは一様に痩せており、脱水等にもかかりやすく、皮膚疾患が多いのも特徴である。裸足あるいは裸の子どもたちもおり、衣服すら充足していない状況があった。また、子どもたちや女性への虐待も顕在化している。

2.現地の医療機能の状態

◇既存の医療機関等の機能回復
<病院>
 T病院:海岸線からわずかに500mくらいのところに病院があり、津波の勢いで建物の一部は損壊し、ライフライン・通信機能は全てストップした。当時344人の入院患者がおり、車で25分くらいのところのK病院に転院させて避難をさせていた。もともと教育病院であり、他機関との連携もあり、財政的にもマンパワー的にもサポートが多かった。隣にNGOや各国の支援によりテントやビルを建設して、当初70床の病床から2・3ヵ月後には216床までにした。現在は、分娩数が半数に止まっており、病床数が不足していることが課題である。

 コロンボ・ナショナル・ホスピタル:200床の病床数を持つこの病院は、内戦や爆発などによる災害時の備えとともに対応をしてきた。救急部門には看護師が2名待機しており、一日300人くらいの救急患者の振り分けをしている。重度外傷の人から優先度して治療を受けられるようにしている。救急部門には教育担当の看護師がおり、災害に関する教育も実施していた。教育担当者は、日本の病院での研修を受けた経験を持っていた。継続教育として、スタッフナースを対象とした5日間の災害看護研修をしている。これまでは人為的な災害に対する教育が主だったが、津波災害についても教育に入れていくということであった。


<ヘルスポスト等> 
 Moratuwaの保健センターでは、人口20万人の西側の地域5地区から構成されており、全てが海岸線にあって多くの被害が出た。医師2名、保健師が約40人で、Public Health Inspector等あわせてスタッフは総勢約60名である。(1)Public Health Inspectorは、5つのエリアを担当し、学校や職場の環境、特に水等の衛生に関する検査や指導をしている。(2)Public Health Nurseは訪問看護、家族ケア・コミュニティケアを行い、(3)Sinner Midwife 2名は母子保健指導を、(4)Public Health Teacherが地域住民の教育指導や地域の公衆衛生の学生の指導も受入れている。
この保健センターの主な指導は、母子保健指導と予防注射、家族ケアである。精神保健師が一人おり、3ヶ月毎にチェックするようにしている。こうしたシステムの下で、予測をしながら対応をしている。

3.ケア提供者の状況

◇精神的側面
 T病院では、医師2名が精神的な疾患になり、カウンセリングなどの治療を受けているということで看護師については何も語られることはなかった。病院長が医師であり把握していなかったということも考えられる。

4.その他

◇復興支援活動
<WHO>
 行政と連携で調査等をしていくのは、資金もなく非常に困難な状況であるが、唯一進行しているのは、政府との連携で特に災害対応についての教育をしていくことで、2つのコースを準備する予定である。一つは大学の医学部とともに災害マネジメントについての修士課程(2年間)での教育を2008年より開始することになっている。定員は30名であり、5年間以上の臨床経験を有することを条件としている。
またこれとは別に6ヶ月ごとに講習会を開催している。これらのコースをでた人がWHOと協力をして、被災地での研究や実践活動ができるようになる。そのために、講義と実習とを組み合わせた実践的なカリキュラムとなっている。

<保健省>
 災害直後は、全ての被災者に対して食事や日用品などを配給し、全ての人々のソーシャルサポートを警察や軍部等と議論をしていった。生存者に対して、病院・仮設住宅・小学校などの教育施設を提供していった。寺に一時避難をした人に水などの提供や、医師のボランティア活動で感染症予防等を実施していった。大きな病院には負傷者を収容し、遺体は小さな病院に収容するように区別をして対応した。多くの遺体は、一人ずつ写真に収め、24時間体制で収容をし、その後は大きな墓に埋葬をした。長期的には、津波はこれまでに経験したことのない初めてのことであり、備えの教育を小学校レベルでから実施するようにしている。

 保健省看護課においては、災害マネジメントは、洪水・サイクロンなどを対象としており、津波は想定をしていなかった。コミュニティ・ヘルスナースが少なくケア活動が十分にできないので、病院看護師が一緒に活動をしている。問題としては、生活環境が良くないので、伝染病が増えていく可能性がある。また、どのように安全な生活を送るようにするのか、どのように自分自身の身の安全を守るのか(特に女の子)、どのように精神的な問題を克服していくのかについて教育をしていくという、この二つを課題と考えていた。

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