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インドネシアにおける1年後調査報告の概要
 

調査日程:2006年1月26日〜2006年2月1日

1.一般被災者の状況

◇ 生活の状況
 津波の被災者のうちどの程度の人々が被災地外へ避難したか、その後どの程度戻ってきているかは不明である。住宅の再建が始まっており、市内のいたるところで住宅建設・補修などが行われているが、自宅を失った者の多くは、現在バラックと呼ばれる仮設住宅あるいはテントに暮らしている。徐々に住宅建設が進んでおり、恒久住宅への移住も始まっている様子であるがごく一部のようである。

 上水道は整備されていないが、浄化された水が運ばれてきてタンクに貯めており、それを使用している。町全体が、復旧工事の影響で埃が多く、津波の影響で各所に水たまりがある。復旧支援の為、海外からも多くの支援団体が来ていることもあり、商業については戻りつつある。建設業については日雇いで多くの需要があるが、漁業は船を失った者が多く、政府から支援された船は本来土地で使用していたものと形状が異なる為、漁に出たとしても漁獲高が上がらない。現金収入を得るために、日雇い労働に出る漁民も多い。

◇コミュニティ形成
 アチェの人々の特徴として、特に同じ集落の人々はモノを平等に分ける習慣があるようで、今回もバラックで配布した食品は世帯毎に平等となるように準備されていた。NGOが支援している組織・地域では様々な物的・経済的支援が得られているが、NGOが入っていないところでは支援が十分に届いていないなどの状況がかいまみられた。

◇健康状態
 住宅再建等での粉塵による呼吸器疾患は多少ある様子だが、データでは示されていない。食生活、生活環境の変化による健康障害は、明確な健康障害の発生には至っていないが、バラックでの生活では以前に比べ野菜の摂取が減少し、麺類や缶詰などの摂取が増加している。
精神的側面での健康状態は、精神疾患の増加やPTSDの発生等データとしては確認されていない。しかし、人々の間には精神社会的問題が存在していると看護職は認識しており、ケアのための知識や技術の習得を切望している。
女性の健康状態は、イスラム教の地域ではあるが女性も比較的活動的であり、受診ができない等の問題は発生していない。
子どもの健康状態について、バラックで生活している子どもの栄養状態はあまり良いとは言えない。データとして示されないが、全体的に小さい子どもが多く、特に手脚が細く栄養不良・成長不良を思わせる。子どもの表情は全体的には明るいが、中には夜泣きや退行現象を示す子どももいる。

2.現地の医療機能の状態

◇既存の医療機関等の機能回復
<病院>
 Ulee Lheule地区にあった60床のムラクサ病院は閉鎖。Z病院において、ハード面での修復は、ドイツのNGOの支援を受けて進行中。津波前は400床であったが、現在の病床数は220床で稼働中。受診者が急増しているということはなく、現状でも対応可能な状態。現在は外国の医療スタッフの在駐はない。
高度医療機器の寄付が海外のNGOからあったが一部は使えるスタッフがいないために使用していない。看護スタッフの志気が低下していると言われているが、その原因として、津波被害による精神的なものも考えられるが、津波後、海外からの支援を受け、NGOや海外の医療スタッフと共に活動する中で、外国とのギャップ(医療技術、言語)を感じ、自尊感情が低くなっているようである。


<ヘルスポスト等>
人口約30,000人に1カ所のヘルスセンター(保健所)とバラックに1カ所ずつ(約100世帯500名程度)のサテライト・ヘルスポストが設置されている。津波によって破壊されたヘルスセンターならびにヘルスポストの建物や 設備・備品は州政府がNGOの支援を受けて建設、確保している。ヘルスセンターには約50名のスタッフ(うち、看護師3名、助産師9名)、ヘルスポストには16名(うち、看護師6名、助産師2名)が配置されている。訪問看護や健康相談・健康教育が行われており、相談や教育の主な内容は、マラリア等の感染症予防、衛生指導、栄養指導等である。
また、外部からの支援は、主に物的、経済的支援が海外NGOからなされており、人的支援はない。


3.ケア提供者の状況

◇勤務状況
 被災前からの変化として、被災直後は超過勤務、連続勤務などがあったが、現在は通常の勤務体制に戻っている。看護師自信は、多忙、過重勤務と認識している。

◇ケア提供者の個人的被害と復旧状態
 バラックに住むスタッフも多数いる。親類縁者を含めると大多数が家族を失っている。ヘルスポストのスタッフには過去2ヶ月間(12,1月分)の給与が支払われていない。自宅を失ったものも多数おり、自宅再建等を考えると経済的には厳しい状況にあるが、日常生活上には不自由ない程度に暮らしている。

◇精神的側面
 全体としては気力低下がある。直接には確認できていないが、スタッフの中には精神的な問題を抱えたままのケースもあるということ。心理社会的なケアについての研修等も開催して対応している。

4.その他

◇復興支援活動
 世界各国のGO/NGOが依然として多数現地で活動を行っている。
◇現地看護協会の活動
 インドネシア看護協会アチェ支部の活動としては、(1)協会施設の再建、(2)看護職向け研修をPPNIやJNAをはじめとする海外からの支援を受けて続けてきた。

  研修は、(1)コミュニティヘルスケア、(2)コミュニティ・メンタルヘルスケア、(3)エマージェンシーに関するものが行われている。今後は、保健省・WHOによる研修も行われる(3レベルに分かれた研修であるが、災害に特化したものではなく、一般的な看護知識・技術に関する継続教育−1.Basic 1, 2.Basic2, 3.Advance)。教育したことが継続して実践されるために、モニタリングや評価の仕組みが必要であり今後の課題である。

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