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ストリーミング看護研修
21世紀COEプログラム:災地で聞いた生の声
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パキスタン地震時の被災者受け入れ病院の体験と対処 
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パキスタン地震時の被災者受け入れ病院の体験と対処
 

 今回、わたしが出席した学会「The 4th APT-Telemedicine Workshop」は2005年10月8日にパキスタンで大地震が起こったこともあって「災害」が一つのテーマとなっていました。そういう背景でわたしも学会参加し発表させて頂いたのですが、「この地に赴くのなら・・・」ということでわたしには「被災者を受け入れた病院への調査を実施する」というミッションを実施する必要がありました。

 
地震発生:2005年10月8日午前8時50分(日本時間午後12時50分)ごろ

震源地:パキスタンの首都イスラマバードの北北東 約90Kmが震源マグニチュード7.7(震源の深さ約10Km)

地震の大きさ:震源地から100Km以内でも激しい揺れが襲ったと見られる。

犠牲者数:最終的な今回の地震による死者は8万人を超える可能性がある。

 
 
 そこで、1月26日にイスラマバードの病院を訪問させていただきました。調査した病院はPakistan Institute of Medical Sciences(PIMS:パキスタン国立医科学研究所:ここにある3つの病院を総合して呼ぶ)でした。この病院を選択したのは、代々のJICAのNsが派遣され私の大学の教員とコネクションがあり、アポイントがとれていたためでした。

 今回は、PIMSのうちのCH(Children Hospital:250床)を訪問し教育看護師長にインタビューしました(インタビュー内容は、いつも被災地でのインタビューに用いている半構成的な12項目の内容)。教育看護師長は教育学の修士課程を終えている男性看護師でした。パキスタンでは看護学の博士課程がないため修士課程を出ているひとはまだ少数です。

 以下、インタビューの内容をかいつまんで記述します。

 病院としては地震後4ヶ月近く経過しておりほぼ落ち着きを取り戻しているということでした。現在、被災児の入院は9人ということでインタビュー日までの被災入院患児の数は合計2444人だということです。地震当日に搬入された患者はたったの3人で、皆イスラマバードの小学校から搬送された子供達でいずれも軽症だったらしいです。こんなに少ないはずは・・・と思っていたら、翌日は270人が来て大あわてだったそうです。被災地は山岳地でありイスラマバードまでの陸路が遮断されているため、ヘリコプターなどで搬送され、病院は急な多人数への対応に追われることになったそうです。看護職は105人ですがうち75人が勤務に出てきて対応に当たったそうです。

 このときから職員の果てしない過酷な労働が始まり仕事を休めない人の心身の疲労が暫く問題になったそうです。働く看護師にも家族がありそれらへの影響もあったということです。当時の最大ベッド数は230床でしたが、数日後には最大330人を収容することになりずっと100床を増床し稼働していたそうです。当時は病院正面玄関の1階廊下にもずらっとベッドが並んでいたそうです。
 
 
 災害当時の病院の問題として、(1)親と離れた被災患児の不安と混乱 (2)被災患児の引き取り者の確認とセキュリティ (3)スタッフの疲労 (4)災害時と後一ヶ月までの病院マネージメント が挙げられたと話してくれました。
 
(1)親と離れた被災患児の不安と混乱
 遠隔地からヘリコプターで搬送されたために家族がいないもしくは一人しか付いてこないという現状や子供であり現状が理解できない事によるものであり、恐怖体験のフラッシュバックや多大なストレスへの対応に多くの時間を割かねばならなかった。

(2)被災患児の引き取り者の確認とセキュリティ
 発災5日後に「誘拐未遂」があった事を受け、病院のセキュリティの強化と患児の引き取りに来る親のidentifyを確実にする対応をしたがこれにも多くの手間と人員を割いた。

(3)スタッフの疲労
 長期の超過勤務による疲労で不満やストレスが多く出たためよく話し合ったり、助け合うことの大切さを学んだ。

(4)災害時と後一ヶ月までの病院マネージメント
 この災害が起こるまでパキスタンで今後起こる災害はテロであると予測していたのでそれには対応できるよう教育と訓練を実施し備えていたが地震災害は予測せず備えもなかった。そのことが不備であった。
 
 
 今後の課題として、(1)災害看護領域の確立とその教育体制 (2)災害管理体制の強化が挙げられました。

(1)災害看護領域の確立とその教育体制 
 災害看護領域を独立させた看護教育はまだないためその確立が必須である。今回の災害では看護学生も多く動員され大変活躍していた。教育プログラムに組み入れることでさらにこの仕組みは発展させられると考える。

(2)災害管理体制の強化
 今回の災害で、「地震災害」への看護ケアや災害直後からの病院マネージメントができるよう日頃から計画や訓練が必要だと認識した。それは平常時から準備し続ける必要があると実感している。


インタビュー内容は以上です。
この病院はパキスタン最大で最も近代化された病院ですので、被災地近くの小さな病院や避難所の医療はもっと違うだろうと思います。ですが今回のインタビュー目的は、パキスタンの災害看護の現状を知ることや、私達のような日本の災害看護研究者がどう連携していけるかの前調査の位置づけでしたのでパキスタン地震を経験した病院の現状を知ることが出来、学びになりました。
世界中で災害が頻発するなかで、あらゆる場面での看護の役割が重要となっており私達のCOEプログラムの責務が重くなっていることを感じる毎日です。
 
 
 

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