災害看護 命を守る知識と技術の情報館 ユビキタス社会における災害看護拠点の形成
あの時を忘れないために
本サイトのご利用にあたって
兵庫県立大学大学院看護学研究科 21世紀COEプログラム
役立ちマニュアル:がん患者偏
代替・補完療法とどうつきあうか
備えの時期 災害発生初期 復旧・復興期

代替・補完療法に関心があるときは 次のようなステップで進めましょう


1.あなたが興味のある代替・補完療法について主治医や看護師に相談します。
質問内容はこちらを参照

2.始める前に代替・補完療法のリストを作り、つぎのようなことを調べる。

 

 
* その療法についてどのような研究がされているか?
* それは科学的な方法で検証された論文か?
* 施療者はどのようなところで訓練を受けているか?
* 施療者は免許など技術を保証するものを持っているか?
* 費用はどれくらいか?
 
     
 

巻末の表1および表2は主な代替・補完療法に関する研究結果や医学的な見解について文献の内容を紹介したものです。参考にしてください。

 
     
 

3.療法や施療者を決めたら、初めて行くときは次のことを用意しましょう。

 
 

あなたが不確かだと思う情報について質問を用意する。

 
 

医師に尋ねる内容と重複しますが、それぞれの立場の意見が聞けます。

 
     
 

* この療法に期待できることは何ですか?
* この療法の危険性(副作用)は何ですか?
* 治療効果の方が危険性を上回るでしょうか?
* 私のような病状に使って効果があったという科学的な根拠(何か発表されている論文)はありますか?
* 現在受けている医学的治療になにか影響がありますか?
* この療法をやってはいけないのはどのような状態(または病気)の時ですか?
* どれくらい長く続けるのでしょうか?

* 何か機材やものを買う必要がありますか?
 
     
 

質問されたら答えられるように自分の病気の歴史(いつ診断されて、どのような治療を受けて、現在に至ったか)、現在の治療、飲んでいる補助食品、をまとめておく。

 
     
 

一緒に行ってくれる友人や家族をたのんでおく

 
     
 

初めての相談に行ったときにすぐに契約などしないで、一度帰ってから次のようなことを思い出しながら点検してみる。

 
     
 

* 勧められたやり方は自分に合っていると思えるか?(効果の説明は納得がいくか?受け入れやすいか?)
* それをすると楽になると思えるか?
* 施療者と話をしたときに不愉快ではなかったか?(話しやすいか?質問しやすいか? 医学的治療にもオープンな態度を持っているか?あなたの体の状態を丁寧にわかろうとするか?あなたのような患者様に慣れているか?)
* 施療者はあなたの疑問に適切に答えたか?

* 施療者の態度は信頼できたか? 
 
     
 

選んだ療法や施療者は不都合ならいつでも変えることができます。

 
     
 

表1 代替・補完療法についての見解
がん患者様が用いる可能性のある代替・補完療法を抜粋して、できるだけ科学的根拠を重視して整理しました。

 
     
 
療法
科学的な根拠
推測されるがん治療への効果
鍼治療 日本ではあんまマッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律で活動が公認されており、腰痛などの治療に日常的に用いられています。多くの人が関心を示し、実際に使われているという実績がありますが、科学的根拠が十分に検証されているわけではありません。効果について論じた科学論文もあまり見あたりません(米国医師会編 1993訳者田村氏注)。 鍼治療によって原因となっているがん病変が除去されることは期待できませんが、がんの痛みや様々な症状のために、例えば筋肉組織が持続的な緊張をきたしている場合は緊張緩和に効果があり、間接的に痛み緩和をはかることができるものと思われます。
カイロプラクティック 脊椎指圧療法(カイロプラクティク)は、脊椎の亜脱臼を矯正することによって治療する方法です。科学的な論文は示されていませんが効果のあった事例の報告が行われています。米国では、一部の保険が適用され、施療者の社会的活動が認められています。日本では国家資格は与えられていませんので、医療行為としては認められていません(今西 2001)が、身体の不調を調整するのに広く用いられています。

がんに対する治療効果を科学的に説明することはむずかしく、科学的な検証は行われていません。

長期にわたる慢性の腰痛などには効果が見られる事例が報告されていますが、がんの転移に伴う痛みでは、骨への転移巣が骨折するなどの弊害もあり、試す場合は主治医への相談を十分行う必要があります。
マッサージ

皮膚に加える触圧刺激をコントロールして治療的反応を引き出す方法です。触圧による刺激は皮膚に存在する受容体を変形させて興奮させ、この興奮が求心性電動路を経て大脳皮質の感覚野で感知されます。マッサージによる副交感神経優位(自律神経の安定)効果が検証されています(森 1995, 坂口 2000)。

乳がんや婦人科がんでの上肢、下肢の浮腫に対するリンパマッサージの効果は検証されており(Williams 2002)、患者様が自分で行う方法も組み合わせて用いられています(鈴木 2001)。

がんに対する治療効果は示されていません。むしろがんに伴う諸症状に対して対処療法として用いられています。がんの痛みに対しても補助的効果(痛みのために筋の緊張などに対する効果)を期待できます。

またマッサージによってリラクゼーション効果を期待することができます。
食事療法

一部の食品に関して疫学的なデータ(ある特定の食品を多く食べる人に発生率が低いなど)が示されていますががんの発生や予防への効果が特定の食品で認められているわけではありません(米国医師会編 1993)。
ビタミンCの大量療法についてもその効果はまだ検証されていません(米国医師会編 1993)。

(茶、キノコ類をはじめとする食品類に関しては表2を参照のこと)

食事療法によって既にあるがんが消滅したり、特定の食品によってがんを予防することができるわけではありません。特定の食品を食べるのではなく、バランスのとれた食生活をすることが勧められており、米国がん予防協会は以下のような生活を推奨しています。
・理想的な体重を維持する。
・なるべく多くの食品を食べる。
・野菜と果物を毎日食べる。
・全穀物、大豆、野菜、果物などの繊維食品を取る。
・脂肪摂取を減らす。
・アルコール接種を減らす。

・塩で加工されたものや薫製され窒素で保存された食品の量を減らす。
アロマセラピー

植物のオイル(精油)を用いて「生物的なバランスをとる」、「細胞を活性化する」、「自律神経に作用する」と言った効果をねらって行われる療法です。

治療効果を科学的に十分検証した研究はまだなされていません(米国医師会編 1993)。しかし、植物から抽出された精油を用いた効能は薬理学的に確認されています(今西2001)。
精油のにおい物質は鼻腔粘膜を刺激し嗅神経→大脳辺縁系→感情領域に作用し、気分の安定などをもたらすことがわかっています。効能に合わせて精油を選別すれば抗細菌、免疫上昇、鎮痙、抗炎症、ステロイドホルモン様作用、女性ホルモン様作用、などが立証されています。がん縮小効果は期待できませんが、気分の調整などに活用することができます。血中濃度が変化するほどの作用はありませんので安全に活用することができますが、一部直接吸入したり、皮膚に接触させる場合はアレルギーに注意が必要です。
リラクゼーション

自律訓練法、催眠療法、座禅、マッサージなどを取り入れた方法などが用いられています。

療法によってα波の出現がみられ、脳の新皮質活動が抑制され皮質内部の生命調節機構が活性化すると推測されて、良い効果をもたらすとされています(今西 2000)。
α波の出現ががんを治すということはありませんが、病気や治療による不快な症状(痛み、不眠、吐き気、気分の落ち込みなど)の感知は脳の活動に関与しているので、リラクゼーションによって起こる脳波の変化によって症状の緩和を期待することができます。
イメージ療法 自分にとって望ましい心のあり方をイメージすることによって、病状の好転をねらった療法です。がん患者様がみずからのがん細胞が治療によって破壊されていくイメージを描き(サイモントン療法といいます)、がんに対する恐れや不安を調整し、生存期間を延長することができたと報告されています(今西2001)。 米国で化学療法を受けているがん患者様には看護師によって頻繁にイメージ療法が用いられています。生存期間の延長を検証した論文もあります。米国のイメージ療法ががんとの対決姿勢を強調することによって成果をあげていますが、日本では「がんと仲良くやる」いう考え方もありますので、文化的背景によってどのようなイメージを提供するかさらに研究が必要であるといわれています。
信仰による癒し

科学的な根拠はありません(米国医師会編1993)が、心の支えになって、安心して過ごすことができるなど良い効果が期待できます。信仰をどのように取り入れるかは個人の選択によります。

緩和ケアにおけるトータルペイン(全人的痛み)という考え方には霊的痛みの関与について述べられ身体的な痛みと密接に関与していることが強調されています。

精神的な支えを得るために患者様が信仰を行うことは医学的治療を妨げるものではありません。

特定の宗教にかぎらず、信念や自分なりの考えは、がん治療の現場では十分尊重されるべきことです。
精神療法

グループ精神療法によって情緒的安定を得たり、自己表現を行うことで良い効果を生むことが研究されています。

乳がんの患者様グループへの集団療法の成績は、生存率が高くなることが検証されています(Fawzy 1994)。

精神療法によって情緒の安定がはかられ、適切な医療を受け入れやすくなることが、結果的に生存率を高めているという見解があります。

グループメンバーだけでなく周囲の人々の支えがあることが患者様の精神的な支えとして有効であることは、医療従事者の実感でもあります。このことは、がんだけでなく、他の病気の場合も同じです。
 
     
 

表2.茶、キノコ類など食品を取り入れた代替・補完療法  

 
 
療法
信頼性のレベル

紅茶、緑茶

緑茶の免疫力向上機能
紅茶、緑茶に含まれるL-テアニン(アミノ酸)による免疫機能向上が確認されている。がん予防効果についても期待され検討されている。
健康補助食品
(食品)

キノコ類(下線は臨床試験中)

エノキダケ、椎茸、アガリクス、マイタケ、メシマコブががん治療の効果を期待され臨床試験が試みられています(今西 2001)。AHCC(複合キノコ系)、アガリスク、マイタケ、霊芝、メシマはグルカン成分がリンパ球を刺激し、抗腫瘍活性をもつサイトカインを産生させるといわれています(元雄2002)。

果物、ビタミン類

ビタミンC大量療法が注目を集めましたが、がん治療効果は十分検証されていません(米国医師会編 1993)。

その他の物質

海産物などキチンキトサン(かにやエビの甲羅に含まれる)の免疫力向上効果、鮫の軟骨の新生血管増殖抑制効果(がんの増殖や転移を抑制する)、海草のがん予防効果について言われています(今西 2001)が、十分な検証はされていません。
 
     
     
命を守る知識と技術の情報館
役立ちマニュアル
災害の時期で探す
役立ちマニュアル がん患者偏一覧ページへ
このページのPDF版はコチラ 印刷に適したページです
PDFデータをご覧になるにはAcrobat Readerが必要です。
Adobe Reader
お問い合わせ アクセスマップ プライバシーポリシー サイトマップ
Copyright © 2006 College of Nursing Art and Science,Hyogo. All Right Reserved.