災害看護 命を守る知識と技術の情報館 ユビキタス社会における災害看護拠点の形成
あの時を忘れないために
本サイトのご利用にあたって
兵庫県立大学大学院看護学研究科 21世紀COEプログラム
役立ちマニュアル:がん患者偏
化学療法に取り組むには
備えの時期 災害発生初期 復旧・復興期

どのような副作用がありますか?


次に、よく見られる副作用についてその対処など簡単に示します。
(1)吐き気と嘔吐
化学療法が胃と脳(嘔吐をコントロールする部分)に影響を与え、吐き気や嘔吐を引き起こすことがあります。吐き気や嘔吐が出現する程度や頻度は、人により、また薬により大いに異なります。例えば、吐き気も嘔吐も全然無い人もいます。一方で、ずっと軽い吐き気を覚える人もいます。また、治療の間、あるいは治療後に、激しい吐き気をある一定の時間だけ感じる人もいます。その症状は、治療を開始してすぐに始まる場合もあれば、数時間後に始まる場合もあります。気分が悪くなる時間は数時間であったり、およそ一日であったりします。もし一日以上、吐き気や嘔吐がつづく場合、あるいは、吐き気がひどくて液体も飲み込めないような場合は、必ず医師か看護師にその旨を伝えて下さい。
吐き気も嘔吐もたいていの場合、抑制することができます。少なくとも減らすことができます。これらの症状が出た時に、あなたの医師は、制吐薬という吐き気や嘔吐を抑制する薬を使うことがあります。薬の効きめは人それぞれです。症状緩和のために、二種類以上の薬を使う場合もあります。あきらめないでください。医師と看護師と共に、あなたに最もよく効く薬を探し続けてください。
他にも、食事や飲み物の工夫ができます。「食べられないときの食事の工夫」を参照にしてみてください。


食事と一緒でなく、食事の1時間前と後に水分をとりましょう。水分は少しずつ頻回に取りましょう。
食べたり飲んだりはゆっくり行いましょう。
大きな食事を3回取るよりも、回数を多く、少しずつ取りましょう。
食事は、冷たくするか、室温に冷まして取りましょう。そうすれば匂いが気になりません。
冷たく、口当たりのよい、飲みやすいあっさりしたものが食べやすいようです。
水分の多い果物(メロン、りんご、みかんなど)酢の物、梅干や漬物、などを食べましょう。
よく噛んで食べましょう。消化を助けます。
食後に座ってゆっくりしましょう。ただし、食後少なくとも2時間は横にならないで、少し上半身を上げて休むのがよいでしょう。
ゆったりした衣服を身に着けましょう。
吐き気がある時は、深くゆっくりと呼吸して下さい。
友人や家族と雑談したり、音楽を聞いたり、または映画やTV番組を見たりして、あなたの気をそらしましょう。
リラックス法を取り入れましょう。
吐き気が通常、化学療法の最中に起こるようであれば、治療の数時間前は、食べることを避けて下さい。
甘いものや、油で揚げたものや、こってりした食べ物はやめましょう。
治療中ではなく、治療の前に、軽く食事をしましょう。
気になる匂いを避けましょう。例えば、食事の匂い、タバコのにおい、香水などです。
食事を作る気がしないときのために、あらかじめ食事をつくり冷凍しておきましょう。
冷たい透明な飲み物を飲みましょう、透明なりんごジュースや、ぶどうジュース、炭酸のない清涼飲料水など、カフェインがないものをとりましょう。
もし、嘔吐が朝におこるのならば、トーストや、クラッカーのような乾いたものを起きる前に食べて見ましょう。しかし、唾液が少ないために、口内炎やのどが痛い人はやめましょう)。
ミントや、酸っぱいキャンディをなめてみましょう。ただし、口内炎やのどの痛みがある人は、酸っぱいキャンディはやめましょう。

(2)脱毛
抜け毛(脱毛症) は化学療法によく見られる副作用ですが、誰にでも起こるわけではありません。医師は、摂取する薬のせいであなたが脱毛する可能性があるかどうか話すことができます。脱毛には、だんだん毛が薄くなっていく場合と完全に抜け落ちてしまう場合があります。通常、全ての治療が終わると毛はまた生えてきます。人により、治療を受けている期間内に生え始めることもあります。中には、今までと違う色や髪質の毛が生えてくることもあります。
髪の毛ばかりではなく、体全体の毛が脱毛する可能性があります。顔や手足の毛、わき毛や陰毛などすべてが影響を受ける可能性があります。
脱毛は、通常すぐには始まりません。多くの場合、何回か治療を受けた後に始まります。徐々に毛が抜け始めることもあれば、束で抜け落ちることもあります。
まだ生えている残りの毛も、つやを失い乾燥するようになる可能性があります。
化学療法を受けている期間中、あなたの頭皮と髪をケアするために、次にあげるようなことを試してみましょう。


刺激の少ないシャンプーを使用して下さい。
柔らかいヘア・ブラシを使いましょう。
ドライヤーを使う時は低温で乾かすようにして下さい。
髪をセットするためのロールブラシは避けましょう。
髪を染めたりパーマをかけたりすることを避けて下さい。
髪を短くしましょう。ショート・ヘアは毛をより多く見せてくれますし、脱毛が起きた時により対処しやすくなります。
髪の毛がほとんどない場合は、太陽から頭皮を保護するために、日焼け止め、帽子、あるいはスカーフを使いましょう。

すべての髪や、またそのほとんどを失う人の中には、ターバンやスカーフ、帽子やかつら、ヘアピースなどを着ける人たちがいます。逆に、全く頭を覆わない人もいます。また、公衆の面前なのかプライベートなのかによって切替える人もいます。「正しいのか」「間違っているのか」という選択ではありません。あなたが快適だと思う方法をとって下さい。
頭を何かで覆うことを選択した際には、以下を参考にして下さい。


かつらやヘアピースなどは、髪の多くを失う前に入手しましょう。そうすれば、あなたの自然な髪質に合ったものや、今のヘアスタイルに合ったものを(お望みの場合)手に入れることができます。日本では、これらの購入は、病院の売店、かつらを扱っている美容院、デパートなどになります。

自分の頭や顔から、あるいは他の部分から毛が抜け落ちることはなかなか受け入れがたいことです。それに対し、怒りを感じたり、落ち込んだりすることはよくあります。そのような感情を抱くのは全く当然なことです。感じたことを誰かに話すことで楽になれる場合があります。


(3)疲労感/貧血
がんをわずらっておられる患者様はよく疲れを感じたり、エネルギーがないと感じたりします。人々の疲れの感じは人によって違います。なぜ疲れを感じるかも、よくわかっていませんが、化学療法、放射線療法、手術、低血球レベル、睡眠不足、ストレス、食欲不振、などの要素が関わるでしょう。しかし、強い疲労感は、治療効果が出てくると同時に、なくなってくるでしょう。
また、化学療法によって、骨髄の機能(体のすべての部分に酸素を運ぶ赤血球を作る機能)を鈍らせてしまうことがあります。赤血球の数が少ないと、体の各組織は、その働きをするのに十分な酸素を得ることができません。この状態を貧血と呼びます。
貧血は、あなたの元気を奪い、疲れやすくさせます。めまいや寒気、あるいは息切れなどの症状が現われます。そのような時は、必ず医師に報告して下さい。
医師は、治療の期間中、あなたの血球数を頻繁に測定します。赤血球の数が少なすぎる時は、輸血をして体内の赤血球の数を上げる場合があります。
貧血を改善するためにあなたができることには、次のようなものがあります。

一日を計画をもって過ごしましょう。そうすれば休息をとる時間をつくれます。
長い時間の休息よりも、ちょっとした昼寝や、休息をとりましょう。
行動を限定して下さい。あなたにとって最も重要な事だけに限りましょう。
あなたが楽しめる活動のうちやさしく短い時間のものを続けましょう。
医師や、看護師にあなたの疲れについて相談してみましょう。
瞑想、祈り、ヨガ、イメージ法などの方法を試してみることもできます。これらが役に立つかもしれません。
食べられるときによく食べて、たくさんの水分をとりましょう。少量ずつの食事をとることが助けになるかもしれません。
カフェインやアルコールをとるのは控えめにしましょう。
毎日、どのように感じるか日記に書きましょう。一日の計画を立てるのに役立つでしょう。
助けが必要な時には、躊躇せずにお願いしましょう。育児、買い物、家事、または運転など、家族や友人に協力してもらいましょう。
バランスのよい食事を心掛けて下さい。
坐ったり横になったりした際は、ゆっくり起き上がりましょう。これは、めまいを防ぐことにつながります。
体力がなくなっていると感じたら、医師や、看護師に報告しましょう。

(4)感染症
化学療法を受けると、感染症にかかりやすくなります。ほとんどの抗がん剤は骨髄の機能(さまざまなタイプの感染症と戦う白血球を作り出す)を低下させてしまうからです。白血球数は、化学療法の実施後8〜12日間は減少することがあります。その間分裂中の細胞の一部は失われますが、骨髄は新しい白血球を作り出します。感染症は、口、皮膚、肺、尿路、直腸および生殖器官など、体のどこにでも起こる可能性があります。
あなたが化学療法を受けている期間中、医師は頻繁に血球数を測定します。さらに、あなたの白血球が正常値から外れて低くなりすぎないよう保つ、コロニー刺激因子と呼ばれる薬を治療に加えることもあります。しかし、このような特別な段階を踏んでもあなたの白血球数が落ちる可能性があります。
白血球が正常値よりも低い場合の対処方法は、「化学療法の副作用について」を参照にしてみてください。


一日に何度も手を洗いましょう。食前とトイレを使った後は、特に気をつけて洗いましょう。
排便後は、やさしく、但し、しっかりと肛門部を清潔にして下さい。その部分がヒリヒリしてきたり痔になったりしたら、医師か看護師に言ってアドバイスを受けて下さい。また、浣腸や座薬を使用する際は、事前に医師に確認して下さい。
感染する病気(風邪、インフルエンザ、はしか、または水ぼうそうなど)にかかっている人には、近づかないようにしましょう。また、人混みは避けましょう。
最近、水ぼうそう、小児マヒ、はしか、おたふくかぜ、風疹などの予防接種を受けた子供には、近づかないようにして下さい。
爪のささくれを切ったり、引き裂いたりしないようにしましょう。
はさみや針、包丁などを使っている時は、自分自身を切ったり傷つけたりしないように気を付けて下さい。
皮膚を痛めたり切ったりしないように、かみそりは避け、電気かみそりを使いましょう。
歯ぐきを傷つけないよう柔らかい歯ブラシを使いましょう。
吹き出物を絞ったり引っ掻いたりしてはいけません。
暖かい(熱くない) 風呂かシャワーに毎日入るか、濡らしたタオルで体をふきましょう。その際、体をやさしく拭き取って下さい。こすってはいけません。
肌が乾燥し、ひび割れるようであれば、皮膚を柔らかくするよう、ローションかオイルを使いましょう。
切り傷や擦り傷は、すぐにお湯、石鹸、消毒剤できれいにして下さい。
庭いじりや、子供やペットの排便の後始末をする時は、防護手袋をして下さい。
医師に確認せずに予防接種を受けてはいけません。

ほとんどの感染症は、通常、皮膚や腸内、あるいは生殖器官内で発見される細菌が原因となります。中には、感染症の原因がわからない場合もあります。白血球値が低い時、あなたの体は、感染症に対して戦うことができなくなっていると考えられます。十分に気をつけていても、感染症にかかってしまう場合もあるのです。
感染症の疑いのある症状には注意を怠らず、規則的にその症状をチェックして下さい。特に目、鼻、口、性器や肛門部などです。感染症の症状には次のようなものがあります。

37.7℃以上の熱。
悪寒。
発汗。
下痢(これは化学療法の副作用でもあります)。
排尿時にヒリヒリと焼け付くような感覚。
激しい咳や喉の痛み。
通常ではないおりものや、かゆみ。
赤みや腫れがある。敏感になる。特に、傷やただれ、吹き出物の周囲、静脈カテーテルが置かれている部分。

このような感染症の症状が一つでもある場合には、すぐに医師に報告して下さい。このことは、白血球値が低い時には、特に重要です。熱が出た場合も、アスピリンや解熱剤等はもちろんその他の薬も医師に相談して飲むようにします。


(5)凝血障害
抗がん剤は、血小板を作る骨髄の働きに影響を与える可能性があります。血小板とは、血を固めて、出血を止めようとする血球のことです。血液に十分な血小板がないと、ちょっとしたけがでも、通常より簡単に出血したりあざができたりします。
もし、ぶつけてもいないのにあざが現れる、皮膚に赤い斑点が出る、赤っぽい(またはピンクっぽい)尿が出る、黒っぽい便や血便が出る、歯ぐきから出血する、などの症状がある場合には、必ず医師に報告して下さい。 医師は、化学療法を行っている間、頻繁に血小板数を測定します。血小板数が少なすぎる時は、その数を増やすために輸血することもあります。
次にあげるのは、血小板数値が低い時に起こるいろいろな問題を防止するためのアドバイスです。


アスピリン、またはアスピリンを含まない鎮痛剤(アセトアミノフェン、イブプロフェンなど)、他にも処方せんなしに買える薬の中には、血小板の働きに影響を与える薬が含まれています。必ず医師に相談して飲みましょう。
歯を磨く際は、非常に柔らかい歯ブラシを使いましょう。
鼻をかむ際は、柔らかいティッシュを使い優しくかみましょう。
はさみや針、ナイフや工具などを使う際は、自分自身を切ったり傷つけたりしないように注意しましょう。
アイロンをかけたり調理をしたりする際は、やけどをしないように気をつけましょう。
けがをしてしまう可能性のある作業や接触するスポーツは避けて下さい。

(6)口、歯ぐき、喉
がんの治療中、口をきちんとケアすることは大切です。抗がん剤は、口や喉に痛みを与えることがあります。また、抗がん剤は、口や喉の組織を乾燥させたり、ヒリヒリさせたり、出血させたりすることがあります。痛みに加え、口内の傷は、口の中に住む多くの細菌に感染する可能性を持っています。化学療法の期間中は、体が感染症と闘いにくくなるので、これが深刻な問題に発展する可能性があります。ですから、それを防ぐために、必要なケアを行うことが大切です。
次にあげるのは、口や歯ぐきや喉をよりよく保つためのアドバイスです。


もしできれば、化学療法をスタートする前に歯科医に行って、歯を治療してもらって下さい。虫歯や、歯ぐきの膿瘍、歯ぐきの病気、きちんと合っていない入れ歯などのトラブルに対し、処置をしてもらって下さい。また、化学療法の期間中の歯磨きやデンタルフロスのかけ方など、最も良い方法を教えてもらって下さい。化学療法は、虫歯にかかる率を高める可能性があるので、フッ素入りのマウスウオッシュや、歯磨き粉を使って虫歯を防ぐよう、歯科医が提案する場合もあります。
毎回、食事の後に歯と歯ぐきをきれいにしましょう。柔らかい歯ブラシを使って優しく触れて下さい。硬すぎる歯ブラシは、口の組織を傷つけてしまうことがあります。歯茎が非常に敏感な場合には、医師か看護師、あるいは歯科医に相談して、柔らかい歯ブラシや、歯磨き粉を選ぶようにしましょう。
毎回、 歯ブラシを使った後は、よく洗い乾燥した場所に保管しましょう。
多量の塩やアルコールを含む市販のうがい薬は避けて下さい。あなたが使えるうがい薬を、医師か看護師から教えてもらいましょう。

口内の痛みが増してきたら、必ず医師か看護師に伝えて下さい。痛みを治療するために薬の投与を必要とする場合もあります。傷が痛くて食べられない時には、次にあげる方法を試してみましょう。


あなたが直接つけられる薬があるかどうか、医師に尋ねて下さい。または、痛みを和らげるために何か薬を処方してもらうように医師に頼むこともできます。
冷たい料理か室温程度の料理を食べましょう。熱い料理や温かい料理は、過敏になった口内や喉を刺激しすぎることがあります。
柔らかくて口当たりの良い食事をとりましょう。例えば、茶碗蒸し、卵豆腐、やっこ豆腐、あんかけやゼリー寄せ、アイスクリーム、ミルクシェーキ、ベビーフード、柔らかいフルーツ (バナナや、すりおろしりんご) 、マッシュポテト、おかゆ、半熟卵または炒卵、カッテージチーズ、マカロニチーズ、カスタード、プリン、寒天、などです。または、調理されたものをミキサーにかけ、柔らかくして食べやすくしましょう。
酸味のある食べ物やジュースを避けて下さい。例えば、トマトや柑橘類 (オレンジ、グレープフルーツ、レモン) などです。また、香辛料のきいたものや、塩辛い食べ物を避けて下さい。さらに、きめの粗いものや乾燥したものは避けて下さい。例えば、生野菜、おせんべい、トーストなどです。

口が乾いて食べにくい時には、次のようなことを試してみましょう。


口内を潤すために人工唾液を使った方が良いか医師に尋ねて下さい。
水分をたくさんとりましょう。
氷のかけらやアイスキャンディー、または砂糖が入っていない飴をなめましょう。砂糖が入っていないガムも良いです。
ぱさつく食品は、バターやマーガリン、ソースなど汁気のあるもので湿らせてから食べましょう。
ぱりっと乾燥した食品も液体に浸して食べましょう。
先に述べたような、裏ごしされた柔らかい物を食べましょう。
唇が乾燥するようならリップ・クリームを使いましょう。

(7)下痢
化学療法が腸内の細胞に影響を与えると、下痢(軟便) になることがあります。一日以上下痢が続く、あるいは痛みや急激なさしこみ痛を伴うなどの場合には、医師に連絡をして下さい。激しい場合には、医師が下痢止めの薬を処方することがあります。
さらに下痢に対処するため、次にあげるようなことを試してみましょう。


少しずつ回数を分けて食べましょう。
繊維質の高い食品は避けて下さい。下痢やさしこみの原因となることがあります。繊維質の高い食品とは、全粒パンや玄米、全粒シリアル、生野菜、豆類、ナッツや種子類、ポップコーン、果物(乾燥も含む)などです。代わりに、繊維質の低い食べ物とは、白いパン、白米やうどん、おかゆ、熟したバナナ、缶詰や調理されたフルーツ(ただし皮はのぞく)、カッテージチーズ、ヨーグルト、卵、マッシュポテトあるいは焼いたジャガイモ(ただし皮はのぞく)、皮をとって裏ごしした野菜や鶏肉、魚などです。粥、うどん、豆腐、煮魚、茶碗蒸し、りんごおろし、など。
コーヒー、お茶類、アルコール、菓子類は避けて下さい。揚げものや、油分の多いもの、または香辛料のきつい食品も避けましょう。これらの食品が刺激を与え下痢やさしこみの原因となることがあります。
下痢を悪化させるようでしたら牛乳や乳製品も避けて下さい。
下痢で失った水分を補うために、たくさんの水分をとりましょう。水、リンゴジュース、薄いお茶、透明なスープ、ジンジャエール、薄いみそ汁、スポーツ飲料など、刺激の少ない透明な液体が最適です。飲み物が室温であることを確かめてからゆっくり飲みましょう。炭酸類を飲む時は、泡が出なくなってから飲みましょう。
下痢がひどい時には、必ず医師に知らせて下さい。腸の動きを休ませるために、食事制限すべきか医師に尋ねて下さい。良くなってきたら、先に述べたような繊維質の低い食品を徐々に加えていきましょう。透明な液体の食事療法は、あなたに必要な栄養がとれない可能性があります。ですから、3〜5日以上は続けないで下さい。
また、下痢がひどい場合には、失われた水分と栄養分を補うために点滴をする必要が出てくるでしょう。

(8)便秘
化学療法を受けている人の中には、摂取している薬剤のせいで便秘になることがあります。または、通常に比べ活動が減ったり栄養がとれなかったりするために便秘になる人もいます。1日か2日以上たっても便通がない場合には医師に伝えて下さい。下剤もしくは緩下剤(便を柔らかくする薬)、あるいは浣腸を使う必要があるかもしれません。しかし、医師に確認せずにこれらの手段を取ってはいけません。 特に白血球数値が低い場合には注意して下さい。
さらに、便秘に対処するには、次にあげるような方法をためしてみましょう。


便通を良くするために、たくさんの水分をとりましょう。温かい飲み物や熱い飲み物は、特によく効きます。起床時のコップ一杯の水も便通に有効といわれています。
繊維質の高い食品をとりましょう。例えば、全粒パン、玄米、生野菜、調理野菜、新鮮な果物、乾燥フルーツ、ナッツ類、ポップコーンなどがあります。
軽い運動をしましょう。ただ歩くだけでも効果があります。きちんとした運動だけに効果があるわけではありません。ただし、運動量を増やす場合は必ず医師に確認して下さい。

(9)神経と筋肉への影響
神経系統は、ほとんどすべての臓器と組織に影響を与えています。ですから、抗がん剤が神経系統の細胞に影響を与えて(抗がん剤が他でも影響を与えているのと同様に)いろいろな副作用が現われても驚くことではありません。例えば、薬によっては、手足にうずきやしびれをおぼえる、非常に熱く感じる、または力が入らないなど末梢神経障害を引き起こす可能性があります。他にも、平衡感覚を失う、ぎこちなさを覚える、物をつまみ上げにくい、ボタンを掛けづらい、歩行困難やあごの痛みが生じる、聞こえにくい、腹痛や便秘が起こるなど、いろいろな症状があります。抗がん剤によっては、神経系統に影響を与えるばかりでなく、筋肉にも影響を及ぼすことから、筋肉が弱まる、疲労する、痛みを覚えるなどの症状が現れることもあります。
神経と筋肉の問題は、不快なものですが、深刻ではない場合が多いです。しかし一方で、治療の必要を促すような深刻な場合もあります。疑わしい神経と筋肉の症状が出た時には必ず医師に報告して下さい。
十分注意したり、常識で判断したりすれば、神経と筋肉の問題は対処しやすいでしょう。例えば、指がしびれているのなら、鋭いものや熱いものをつかむ際は特に気をつける、また、平衡感覚や、筋肉に影響を受けているのなら、移動の際は十分注意をする、階段の上り下りには手すりを利用する、浴槽やシャワーではバス・マットを利用して転倒を防ぐなどです。また、滑りやすい靴は履かないようにしましょう。


(10)皮膚と爪への影響
化学療法を受けている期間中、多少、肌のトラブルを抱えることになるかもしれません。可能性のある副作用には、赤くなる、かゆくなる、皮がむける、乾燥する、吹き出物が出るなどがあります。また、爪が黒ずむ、傷つきやすくなる、割れるなどの症状もあります。爪に縦の線が現われ、それが帯状となることもあります。 このような問題のほとんどは、自分で対処することができます。もし、吹き出物ができたら顔を清潔にし、乾燥を保ち、市販されている薬用クリームや薬用石けんを使いましょう。乾燥しすぎないようにするには、熱い風呂や長風呂は避け、さっとシャワーを浴びるか塗れタオルで体を拭くなどしましょう。また、肌が乾ききらないうちに、クリームやローションを使いましょう。ただし、香水やオーデコロン、アフターシェーブ・ローションなど、アルコールを含んでいるものは避けて下さい。また、爪を増強するには、それ専用の薬を使って対応することができます。しかし、これらの製品は、時により肌に炎症をきたすことがありますので、症状が悪化してくるような場合には十分注意して下さい。また、皿洗いや庭いじりをしたり、家のまわりで何か作業をしたりする時は手袋をつけましょう。以上のような努力にもかかわらず、皮膚と爪の症状が良くならない場合には、医師からさらなるアドバイスを受けて下さい。また、あま皮の部分に、赤みや痛みなど何か変化があった時は、必ず医師に伝えて下さい。
抗がん剤が静脈内に投与されると、静脈のまわりの皮膚すべてが、かなり黒ずんでしまうことがあります。人によっては、その部分をカバーするために化粧をする人もいます。しかし、複数の静脈が影響を受けると、時間もかかり、なかなか大変になってきます。黒ずんだ部分は、治療が終了してから数カ月すると自然と消えていきます。
日光に当たると、抗がん剤が皮膚に与える影響を増加してしまう可能性があります。医師の方から、直射日光を避けること、または、日焼け止め製品を使うことなど指示が出るかもしれません。長袖の綿のシャツ、帽子、長ズボンなどを利用して太陽光線を遮るか、または太陽光線の影響を受けないようにするために、皮膚の防護係数15 (SPF) の日焼け止めローションを使ってよいかどうか、医師か看護師に確認して下さい。


放射線療法を受けた人の中には、化学療法を受けている間に「放射線リコール」と呼ばれる現象が出てくることがあります。これは、ある抗がん剤の投与中に、あるいは、そのすぐ後に、放射線治療を受けた箇所が赤くなったり(薄赤色の影から真っ赤までさまざまです)、かゆみを帯びたり、ヒリヒリと焼けつくように感じたりする現象のことです。このような反応は、数時間か数日間続くことがあります。影響を受けた箇所に冷湿布をすることによって、かゆみやヒリヒリ感を和らげることができます。放射線リコールが現れたら、医師か看護師に必ず伝えて下さい。 皮膚に関する問題のほとんどは、深刻なものではありませんが、いくつかは応急の処置を必要とします。例えば、静脈に投与されるある薬剤は、万が一その薬剤が静脈から漏れ出してしまうと、組織に深刻かつ永久的なダメージを与える可能性があります。静脈内に薬剤を投与している時に、少しでもヒリヒリと焼けつくような感じがあったり、痛みを覚えたりしたら、ただちに医師や看護師に伝えて下さい。これらの症状は、常に問題になるわけではありませんが、必ず早急に確かめる必要があります。また、突然かゆくなる、非常にかゆくなる、または発疹やじん麻疹が破れる、あるいは、ゼーゼーとあえぐような息づかいになるなど、何か問題が起きた時には、ただちに医師か看護師にそのことを知らせてください。これらの症状は、あなたがアレルギー反応を起こしているので、早急に対処される必要がある場合があります。


(11)腎臓と膀胱への影響
抗がん剤は、ぼうこうを刺激したり腎臓に一時的あるいは永久に損傷を与えたりすることがあります。あなたの抗がん剤がこの種のものかどうか、必ず医師に確認して下さい。そして、疑わしき症状が少しでも現われたら医師に知らせて下さい。注意する症状には、次のようなものがあります。


排尿時に痛みやヒリヒリする感じがある。
頻繁にトイレに行きたくなる。
突然トイレに行きたくなる(切迫感)。
赤味がかった尿や血尿が出る。
熱が出る。
寒気がある。

一般的には、尿の流れを良くして問題を防ぐために水分をたくさん取るのは良いことです。これは特にあなたの薬剤が腎臓やぼうこうに影響を与えるようなものであれば、非常に大切なことです。水、ジュース、コーヒー、茶、スープ、清涼飲料水、アイスクリーム、アイスキャンディー、ゼリー類は、すべて水分とみなします。さらに水分を採る必要があれば医師がそのように指示するでしょう。
また、抗がん剤により尿の色(オレンジ、赤、あるいは黄色) が変化したり、強い臭気を発したり、薬のような臭いを発したりすることもあると知っておいてください。短期間ですが、精液の色やにおいも同様に影響を受ける可能性があります。あなたが使用している薬剤が、このような影響を及ぼすものかどうか医師に確認して下さい。


(12)インフルエンザに似た症状
中には、化学療法を受けた後、数時間ないし数日間、まるでインフルエンザにかかったように感じると報告する人がいます。インフルエンザに似た症状とは 筋肉の痛み、頭痛、疲労感、吐き気、微熱、悪寒、食欲不振などが、1日から3日間続くことです。また、これらの症状は、感染やがん自体により生じる可能性もあります。ですから、インフルエンザに似た症状がある場合には、医師に確認することが大切です。とくにイレッサを内服中の方は、呼吸器の症状に気をつける必要があります。


(13)むくみ
体は、化学療法を受けている間、水分を滞留させてしまうことがあります。あなたの治療法によって生じるホルモンの変化が原因になることもあれば、薬剤自体が原因になることもあるし、また、あなたのがん自体が原因でそうなることもあります。もし、顔や手足またはお腹のふくらみに気がついたら、医師か看護師に知らせて下さい。食塩や、塩分の高い食品を避ける必要があるかもしれません。問題が深刻な場合は、体が余分な水分を尿として排泄できるよう、医師が利尿薬を処方することもあります。


(14)性への影響(肉体的および精神的)
化学療法は、常にそうなるわけではありませんが、男性・女性ともに、生殖器や性機能に影響を与える可能性があります。この副作用は、薬剤の種類、患者の年齢、健康状態などに左右されます。


<男性の場合>
化学療法の薬剤は、精子細胞の数を下げたり、その移動能力を抑えたり、また他の異常を生じさせたりすることがあります。これらの変化により、一時的あるいは永久的に不妊症となる場合もあります。男性の不妊症とは、男性がもつ子供の父となる能力に、影響を与えるものであり、性交する能力に影響を与えるものではありません。
永久に不妊症となる場合もあるので、化学療法を始める前に、医師とこの問題に関して話をすることが大切です。希望があれば、将来のために、あなたの精液を冷凍保存する方法を相談する必要があるでしょう。化学療法を受けている男性は、自分とパートナーとの間で、効果的な避妊をする必要があります。なぜなら、薬剤は、染色体に悪い影響を及ぼすからです。それを防ぐための避妊をいつまで続けるべきか、医師に確認して下さい。

<女性の場合>
抗がん剤は、卵巣に影響を与え、それが作り出すホルモンの量を減らしてしまう可能性があります。その結果、化学療法を受けている期間中、生理が不規則になったり、全く無くなったりする場合があります。化学療法がホルモンに与える影響は、さらに、更年期のような症状を引き起こすことがあります。例えば、腟の組織が火照る、かゆい、ヒリヒリする、乾燥するなどです。このような組織の変化は性行為を不快にさせてしまうかもしれません。けれども、膣用の水性潤滑剤(市販のリューブゼリー)を使うことによって、症状が緩和されることがよくあります。また、組織の変化によって、膀胱や腟の感染症にかかりやすくなる可能性があります。感染症を防ぐためにも、ワセリンのような油性の潤滑剤は避けて下さい。また、下着は綿にしましょう。ストッキングは、通気性の良い綿の裏地がついたものを着用して下さい。ぴったりしたズボンやショートパンツなどは避けましょう。場合によっては感染症にかかりにくくするために、医師が腟用のクリームや座薬を処方することがあります。感染症にかかった場合は、早急に処置される必要があります。(P25ページ(4)感染症参照)。
卵巣の損傷は結果として、不妊症を引き起こす可能性があります。不妊症は、一時的な場合もありますし永久的な場合もあります。不妊症の有無やその期間は、多くの要因によります。投与される薬剤の種類やその量、その女性の年齢にも左右されます。
化学療法の期間中も妊娠は可能ですが、抗がん剤によって先天性の障害をもたらす可能性があるので、まだ勧めらません。医師は、妊娠可能なすべての女性に(10代の女性から更年期の終わりにある女性まで) 治療の期間中は、ずっと避妊をするようアドバイスします。
もし、がんの発見時に女性が妊娠している場合には、出産が終わるまで化学療法を遅らせることもあります。早急に処置を必要とする女性ならば、妊娠12週目を過ぎた段階で化学療法を始めるよう提案するでしょう。12週目というのは胎児への影響が最も高いリスクをこえる段階です。また、場合によっては中絶を考えなければならない場合もあります。

<性欲について>
化学療法を受けている期間中の性に対する感じ方や態度は、人によりさまざまです。中には、自分のパートナーにより親しみを覚え、性行為への欲求が高まる人たちもいます。また、性的欲求やそれに費やすエネルギーに、ほとんど変化がみられない人たちもいます。それでもやはり、がんを患っていることと、化学療法を受けることに対する、肉体的、精神的ストレスのために、性への興味が低下する人たちもいます。このようなストレスには、外見の変化に対する不安感、健康や家族または金銭についての心配、治療の副作用による疲労やホルモンの変化などがあります。
パートナーの心配や恐れもまた、性的関係に影響を与えることがあります。肉体的な愛情行為は、がんを患っている人に有害なのではないかと、心配するパートナーもいます。また、自分にがんがうつったり、薬剤の影響を受けたりするのではないかと、恐れるパートナーもいます。あなたもパートナーも性に対する不安があれば、気兼ねせずに医師や看護師、あるいは、あなたが必要とする情報や安心を与えてくれるカウンセラーに相談しましょう。
また、互いに相手の感情を分かち合おうと努めてみましょう。もし、性やがんについてお互いに話しづらいと感じるならば、もっとオープンに話せる手助けをしてくれるカウンセラーに相談するのも一案です。主治医や、担当看護師に、そのような専門家に紹介してもらえるように、相談してみましょう。 化学療法を始める前の性的関係が心地よく楽しいものであるならば、治療を受けている間も、肉体的な愛情行為の喜びを見い出すチャンスがあるでしょう。それは、新しい愛情行為や意味の発見となるかもしれません。肩を抱いたり、触れあったり、手を握ったり、抱きしめたりする行為がより重要になってくるでしょう。一方、性行為そのものはそれほど重要でなくなるかもしれません。化学療法を始める以前に本物であるものは、その後も本物のままであることをどうぞ忘れないで下さい。愛情表現は性生活だけではありません。何が二人に喜びと満足を与えてくれるのか、それを一緒に探すのかどうか、それはあなたとパートナー次第です。

命を守る知識と技術の情報館
役立ちマニュアル
災害の時期で探す
役立ちマニュアル がん患者偏一覧ページへ
このページのPDF版はコチラ 印刷に適したページです
PDFデータをご覧になるにはAcrobat Readerが必要です。
Adobe Reader
お問い合わせ アクセスマップ プライバシーポリシー サイトマップ
Copyright © 2006 College of Nursing Art and Science,Hyogo. All Right Reserved.